枡野浩一著『ショートソング』だん。
短歌を読む若者を題材にした、ライトな青春小説といった風体。
使われている言葉は確かにライトなんだけど、それでいて人々の心が多くは語られず、想像の膨らむ部分の多い作品。
端々に出てくる短歌はどれも口語体。
最初は簡単な言葉の羅列に軽さばかりを感じていたけれど、気付いた。
みそひともじの中に、広がる、深い想い。
言葉の感性はもちろん、ビジュアルとしての言葉にも敏感にならないと創れない芸術なのだと実感した。
友達のさくちゃんが言っていたけど、Twitterってそういう意味で少し短歌に似ているのかもしれない。
制約があるから、言葉にシビアになれるというか。
五感に訴える言葉。
そういう印象だった。
ふと、中学校時代、授業の宿題で短歌を作ったことを思い出した。
少しでも 話していたいと思っても 時間(とき)は無情にチャイムを鳴らす
・・・これ、私の書いた短歌(笑)
甘酸っぱすぎる中学生時代。
そんな暴露記事を書いちゃったあとだけども、『ショートソング』、良い本だった。
吉祥寺の実在するcafeで美味しそうなメニューがたくさん出てくるところも、いい。
語るより感じる、終盤の勢いも、切なさも、結末も。易しく、説明の少ない軽い小説は、爽やかな読後感と、言葉への愛情と、短歌への興味を残して去っていきましたとさ。
音楽にのせなくてもいいはみ出ても 言の葉感じる心ひとつで ー大井涼子
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